ヴァンデミエール
ヴァンデちゃんには、羽 もあるよね。
うん
じゃ......この子は、月夜ちゃんの好きなものを二つ持っているんだね。
そうね。ただ、僕の好きな要素がある......ということが、
当人たちにとっては幸せじゃないことが多いんだよね、僕の場合。
それは、君がどちらかというと、悲しいお話や、切ないお話が好きだからだね。
......まぁね。
だから、僕は自分が好きなモノたちに、悲劇性を求めている......ところがあるのかも知れないね。
「孤独」......だよ。
......え?
君はね......多分、寂しがり屋さんなの。
そう......かな?
月夜ちゃん、「心に孤独を抱えている子(キャラ)」って好きでしょ?
うん。
だから......自分とおんなじものを求めているんだよ。
そう......だと思うよ。そう、思わない?
......そう思う。きっと当たってるよ。
......(にこ)
......さて、ヴァンデミエールね。
うん。
「魂を宿した自動人形」というだけで、僕にはガード不能ね。
くす......そうだろうね。
かてて加えて、鬼頭莫宏さん の絵は一目で気に入っちゃったね。
繊細なイメージの絵だよね。
手足の細い少年少女書かせたら、一級だと思う。
ヴァンデちゃんは人形ということもあって、さらに華奢さが強調されてる感じするしね。
『ヴァンデミエールの翼』は書店の店頭で見て衝動買いしたんだけど、
この作品に巡り会えて本当に良かったと思うよ。
......ところで物語の中には、ヴァンデミエールの名を持つ自動人形は複数出てくるんだよ。
世代の違いなのかな?......「姉妹」と呼んでいたこともあったね。
そして、彼女たちはみんな、彼女たちの意志で、彼女たちの道を行く。
その結末は......様々だけどね。幸せなこともあり、悲しいこともあり......
......だけど悲しい結末があってもね、僕は、この......彼女たちのいた世界とこの物語が好き。
切ないけど......あたたかい感じがするよね。
うん。それに......何と言っても、人形が人形として生き抜くことができるのだからね。
自分の人形みたいな体が嫌いな ティセちゃん にも、そういう生き方をしてもらいたいよね。
そう......だね。
そして、あらゆる人形が人形として幸せになれることを......祈りたいね。
......うん。
『ヴァンデミエールの翼』 | © 鬼頭莫宏 |