月島 瑠璃子
......私?
うん。
君は......今の僕の起源だからね。言葉を尽くしておきたいんだよ。
そう......、くす。
それで......「人形を感じさせる」って?
目......がね。
眼鏡?
いや、そうじゃなくて......
......ちょっと恥ずかしい記憶が蘇ってくる......ね。
......『雫』マニュアルのショートコミックのあれ?
うん。......まぁ、あれはあれで面白かったけどね。
そうなんだ......って、いやだから、そうじゃなくてね......
......うん、私の目だよね。
......
......?
......そう。瑠璃子さんの目のこと。
......微妙に間が空いたのは何?
いや......気にしないで。
......そう。
......話を戻すとね、君の焦点の合わない目を見て、僕は人形の目みたいだと思ったんだよ。
人形......って、アンティークドールとか?
うん、それもあるけどね。
僕が想像したのは 天野 可淡 という人形作家さんの作った人形たちの目。
人形の目って、硝子とかプラスティックの作り物の目だよね。
そう。硝子製のものは瞳が濡れているような輝きを持っていて、僕はとても好き。
ふぅん。
......でね、それら人形の目は、感情は感じるけど視線は感じられない気がするんだよ。
......うん。
そして、ずっと見ていると引き込まれそうな感じがする。
......怖くない?
普通なら怖いと感じるのだろうけどね。
僕は人形に取り憑かれてから結構経つから......不思議と穏やかな気持ちになるよ。
そう......本当に好きなんだね。人形。
うん。それでね、この人形に対して感じることは、瑠璃子さんに対して感じたことと同じで......
それは多分......僕が君を好きになった理由の一つだと思う。
そう......、くす。
......まぁ、人形を感じたってあたり、僕の中での美化があるだろうけどね。
そのお陰でこの今があるのだったら、それもまた良いかな......って気がする......よ。
まぁ......ね、なにせ瑠璃子さんだしね。
......私も......ちょっとうれしかったりするし......
? 何?
......ん?何でもない......よ。
『雫 ~しずく~ Leaf Visual Novel Series Vol.1』 | © Leaf ⁄ AQUAPLUS |